コラム

電子ファイルの集中管理をしていますか?

~電子情報の安全性と業務効率改善~

本コラムでは、情報セキュリティの観点から、電子ファイルを集中管理するための方法とその実施効果について、活用実例を交えて、全5回にわたってわかりやすく解説いたします。

この記事は2009年3月に、u-Kanagawa推進協議会の依頼で作成したものです。u-Kanagawa推進協議会は2010年3月末日をもって解散となるために、こちらに移設しました。

組織の活性化は情報管理から(その1)

「電子ファイルが散らかっている」状況では、正しい情報を探すことに手間がかかります。電子ファイルは極めて簡単に複製できるので、業務の中で自然に「電子ファイルの散らかり」が起こります。このことはパソコンの中で日常業務をとおして起こるので、会社全体の問題としてなかなか「気づき」に至りに くいのが実情です。

システム規模の小さい中小企業こそ、電子ファイルを集中管理し、安全に情報にアクセスできる方法を備えることで、「今の情報」を基にした情報武装を実現 することができます。

このコラムでは電子ファイルの集中管理がもたらす好影響と、その発展形をご紹介します。

会社の中の状況整理

会社の中を見回してみると、電子ファイルがあちこちにありませんか
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企業の情報武装は「電子情報を散らかさないこと」からはじまります。

事務所の中には、個人個人のパソコンの中に、ワープロや表計算の電子ファイルがたくさんあります。置き場所が決まっていないことで電子ファイルはどんどん散らかっていきます 。
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電子ファイルを散らかすことなくやりとりする「仕組みづくり」=「ルール化」は大きな業務改善です。業務改善はまずここからはじめ、電子情報を安心して活用できるようにしましょう。

組織の活性化は情報管理から(その2)

状況把握のポイント

×「メールでやりとりしているから大丈夫」
大丈夫ではありません。そのうち電子ファイルの複製がたくさんでき、どのファイルが最新のものか判らなくなります。情報漏えいを防ぐ観点では、社外のメールサーバー経由で、社内の重要な情報をやりとりすることはまずやめましょう。
×「パソコン同士でファイルが見えます」
パソコンの持つファイル共有機能で、パソコン間でファイルのやりとりができます。これを「サーバー」と呼ぶ人もいます。ところが詳細な設定を施さないと 「他の人がファイルを見たり消したり」できます。「隣のPCのWindowsを消す」ことさえできる設定を見たことがあります。うっかりミスでシステムも 電子ファイルも失う可能性があります。
×「メールのバックアップはありません」
業務の連絡手段である電子メールを安全に保管することはとても大切です。電子メールは、一般的に手元のパソコンに蓄積されているため、手元のパソコンが 壊れたら見ることができません。過去のメールや添付ファイルを失うことになります。メールはグループウェアを利用し集中管理します。

集中管理に必要なことと改善点

電子ファイルの集中管理には「ファイルサーバー」と「グループウェア」を導入します。電子ファイルを「集中管理」することで、以下の点を改善することができます。
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(1) 「原本」の明確化で「手戻り改善」
「最新の原本はここ」と決めることで、原本取り違えによる手戻りが少なくなり、業務は確実に改善されます。
(2) 「いつでも皆と」情報共有
担当がいなくても読み出しや変更ができるよう、皆が共通に見ることができる「書類棚」と同様に、皆が利用できる「ファイルサーバー」に電子ファイルを置 きます。「あのファイルデータある?」「担当のパソコンに入ってるんだよね..」が無くなり、業務効率が良くなります。また社内連絡をグループウエア、社 外連絡を電子メールと使い分けることで、社内情報の安全性が高まります。
(3) 「バックアップ」が簡単
「ファイルサーバーとグループウエアに情報はある。」このルールの徹底で社内の電子情報のバックアップは「サーバー」だけでよくなります。パソコンの 「マイドキュメント」など事務所内の個々のパソコンの特定フォルダを自動的にバックアップすることは現実的には不可能です。

組織の活性化は情報管理から(その3)

電子ファイル集中管理の基本形

電子ファイルの集中管理を実現する基本形は以下の形です。
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電子ファイルを「ファイルサーバー」という「電子的な書類棚」に置くことで、電子ファイルを集中管理し、「グループウェア」で電子メールの情報を集 約します。

集約した電子データを、そのまま定期バックアップします。定期バックアップ先はもう一台のサーバーに設定し、サーバーそのものの障害に備えます。

サーバーは情報置き場

大きな会社は「サーバー」や「ホスト」を持ち、情報を集中管理しています。情報の電子化が進む中小企業にも同様の考え方が必要です。

ファイルサーバーを導入することで、電子ファイルの置き場所が決まります。とても単純なことですが、このことが電子情報管理の入り口となります。
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サーバーで実現する読み書き制限

情報置き場が決まったら、次に情報を誰が読み書きするかを決めます。

サーバーでは、誰が電子ファイルを読み書きできるかを設定できます。この機能 により、全社共通、部門共通、プロジェクト共通など、業務単位に読み書きできる人を設定します。
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サーバーで実現する情報の安全

このようにして数箇所に集中管理した電子情報をバックアップすることで、簡明な仕組み、手順でバックアップすることができ、情報を安全に管理する ことができるのです。
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さらに、事務所間で情報をバックアップしたり、より安全なデータセンターにバックアップデータを預けることもできます。
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組織の活性化は情報管理から(その4)

サーバー活用で進む事務所間接続

インターネットが高速になり、事務所間を安価に安全に接続することができるようになりました。社内の電子文書を本社やインターネット上のサーバー に保管することで、複数の事務所から「同じ電子ファイルやスケジュール」を共有することができます。
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遠隔接続機能のあるパソコンを活用すれば、自分のパソコンをどこの事務所からでも呼び出して使うことができます。「本当に使うパソコンは一台だけ」とすることで、情報の一元管理が進みます。

電子ファイル集中管理の発展形

このような形態が実現すると、複数の事務所間での情報共有や、自宅やモバイルパソコンから最新の社内情報を利用できます。同様の仕組みで、在宅勤務も可能です。
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私の会社では、サーバーへの情報の集約を活用して、パート勤務の在宅化を進めました。今は高速なインターネットを利用できるので、「社内から情報を持ち 出すことなく」在宅勤務が可能です。この技術の応用で、持ち歩くモバイルパソコンからdocomo FOMA等の高速携帯テデータ通信を使って、出先で安全に社内情報を活用できます。実際に使用するのは事務所内のパソコン一台とファイルサーバーなので情報 が散らかることはありません。

サーバーとネットワーク活用実例

この写真は、病院にあるレントゲン写真をホテルの部屋で見る仕組みを検証しているところです。画像は病院内のパソコンからインターネットを通じて 伝送しています。
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レントゲン写真は電子ファイルそのものです。これまでは、このような容量の大きい電子ファイルを、安全に外部で参照することは難しかったのですが、インターネットの高速化により可能になりました。

この例はホテルに持ち込んだネットブック・パソコンにレントゲン画像を表示していますが、従来の方式のように病院から電子ファイルをダウンロードしたものではありません。レントゲン画像の電子ファイルは「病院に置いたまま」です。ちょうどテレビのように「接続したから(=チャンネルを合わせたから)今見えているだけ」です。

このときの通信経路は暗号化されており、通信途中のデータを参照されても暗号を解くことは困難です。

この事例同様、一般企業でも電子ファイルを集中管理することで、事務所内の情報を出先でも安全に活用することができるようになるのです。

新しい情報技術を活用するために

このような情報の集中管理が実現することで、SaaSASPサービスなどソフトウエアの集中管理につなげることができるのです。

このコラムで解説してきたサーバーをデータセンターに預け、ソフトウエアの利用にSaaSやASPサービスを併用した形が、自社に「サーバーを置かな い」即ち、「クラウドコンピューティング」です。

まずは「電子ファイルの集中管理」を入り口に、出先から社内情報を活用する「スモールクラウド」から取り組めば、業務効率は確実に改善します。

さらに、近い将来具体化する新たなITサービスの活用と融合ができるようになります。

電子ファイルの集中管理をしていますか? ~電子情報の安全性と業務効率改善~ 完

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